※ずいぶん前の過去記事です。いずれ編集、加筆を予定しております。
私、映画は何も考えずに観るほうでして。
なので、映画レビューは基本的に書かないようにしようと思っていた(基本、「楽しかった!」で収束してしまうから)んですが……。
『海獣の子供』はどうしても筆を執りたくなってしまったんです。そのぐらい私には衝撃の大きい映画でした。
※ネタバレなし、むしろストーリーにはほぼ触れていません
※原作は未読です
五感が恐ろしいほど揺さぶられる「画と音」
映画で刺激されるのは目と耳ですよね。
でも、『海獣の子供』はそれ以外の鼻や肌、なんなら舌までが刺激されるように感じました。
それはその映像が音が、あまりにリアルすぎるから。
アニメなのに、リアルすぎてリアルすぎて、むしろリアルをさらにぎゅっと凝縮したような世界で。
(きっと人の目では実際に捉えきれないものが画面の中に押し込まれていて、とてもリアルな音と引きたてあっているような感覚)
潮のにおい、砂のざらつき、日のあたたかさ、教室の床の冷たさ、一人で教室にいるときの妙な静けさ。
これまでの経験で感じてきたことのあるそれらがまざまざと甦って。
それゆえに驚くほどに映像の中に入ってしまう。
登場人物たちと同じ世界を肌に感じ取ってしまうようでした。
心がざわめき恐怖に逃げ出したくなるのを耐えながらの鑑賞
『海獣の子供』の映像により強く五感を刺激されることは、時折、ひどく恐ろしいことでした。
気を抜くと、ぐわっと持っていかれそうになるんです。
必死に耐えていないと、ここではないどこかへ飲み込まれるような。飛ばされてえしまうような。
特に海の中はやっぱり恐い。
私にとっては未知の世界すぎるから。
地上ではありえないサイズの生き物たちばかりだから。
分からないこと、神秘的であることに対する憧れとセットになった恐怖感を遠慮なくまさぐられたような気分だった。
鑑賞後、HSPであることに感謝した
ほかの人の『海獣の子供』に対する口コミを見ても、「圧を感じられる」「怖い」というようなものが多いのでHSPでなくても同じ感覚は味わえるんだろうな、と。
ただ、きっと五感の鋭いHSPであることで、より深く作品に潜れたような気がするんです。
まあ、HSPであるがために鑑賞後はどっと疲れが出て、目眩もあったんですが……。そこまで含めて中毒になりそうな世界を味わえました。
でも本当、HSPさん含め感受性が豊かな方、心身疲れているときにはおすすめできません。
私の中の映像美のハードルが高くなってしまったように思う
『海獣の子供』を鑑賞した後に、ほかの映画もいろいろと見てはいまして。
ただね、「リアルなだけ」「動きがスムーズなだけ」のCGに対する感動がとても薄くなってしまった気がします。
『海獣の子供』に比べると没入感がどうしても物足りなく感じられてしまうんでしょうね。
ストーリーは楽しめても、興奮するほどの感動を得られないというか……。
正直、29年の人生でここまでの映像ははじめてなように思うし、今後これ以上が現れるのか?と思ってしまう。